2009年03月22日

ワイラーの知られざる名作「探偵物語」

探偵物語と訳されているが、英名のDetectiveは公的機関、民間にも使われるから、実際は刑事物語といった方が妥当だろう。
それはさておき、ワイラーは私の大好きな監督だが、この作品は初めて見た。
見始めると一気に話に引き込まれ目が離せないほど面白い。
円熟したワイラーの見事な展開で痺れるほど感動した。

等身大の人間を描くのにワイラーほど誠実な人はいないだろう。
弱さや卑屈さを隠しもせず、誇張することなく人間の誇りと気高さを称える手腕は素晴らしい。

物語は主人公(カーク・ダグラス)の勤める21分署という警察署内でのたった一日の出来事である。
ここに来る人々、それは罪を犯して連れ込まれる犯罪者や助けを求める被害者、それに用も無いのに来る者などの様々な人間を丁寧に描いている。

面白いのは冒頭に万引きをして連れてこられた女が脇役として最後まで署内にいて、訪れた人々を観察してユーモラスな演技をするところだ。
そして何人かの刑事がそれぞれ個性的な性格で主人公や事件に関わる人々とのやり取りがまた良い。

主人公の妻の過去の不実が次第に明らかになるまでは、主人公は融通の聞かぬ生真面目一本の刑事として描かれている。
カーク・ダグラスがまだ若く生真面目そうには見えないのだが、その生真面目さのため、妻を傷つけ自ら傷つき、そして周りから孤立しかけたときに悲劇が起こる。
最後に自らの罪を自覚し神に許しを請いながら、事件として厳罰にしようとした青年を許すくだりが泣ける。

妻の不実は主人公と出会う前のことであり、それとて不実というより主人公の嫉妬心がそう決めつけていることであり、この辺りの男女の関係はどこも同じだなと思う。

ワイラーの素晴らしいところは、特別な事件で話題を作るのではなく、ごくありふれた出来事を通して人間の弱さと強さを描き出したことである。

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posted by なっちゃん at 17:06| 静岡 ☔| 映画・TV | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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